クヴェヴリ・エミのブログ

JSA認定ワイン・エキスパート&WSET Level3資格保有。ワインについて日々思うことを記していきます。

イスラエル人と餃子

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出張で日本に来ている外国人2人を、急遽ランチに連れて行くことになりました。

なくはないシチュエーションだけど、今回は顔を合わせてから出かけるまでのリードタイムがいまだかつてないほどの最短で出発することに。

午前中オフィスでいつもどおり仕事していたら突如マネージャーが駆け込んできて、ねえちょっとこれから外国人とお昼行ってきてくれない?私ミーティング出なきゃいけなくて、と連れて行かれた先にはたしかに外国人が二人待っていて、こちらがエミです、はい、ランチいってらっしゃい!みたいな(どんなだ)。

そんな対面から始まったので、相手も遠慮していたのか、お腹空いてないからコーヒーでいいよ、カフェで何か軽くつまめれば、などと言う。たしかに前の職場にいたカナダ人も昼はコーヒーだけで済ませることが多かったしそういうものなのかな?と思いそうになり、取り敢えず一番近いカフェならスタバだけど、と言ってみた。軽食もあるし、このビルの一階に入っているので移動時間も最小限にできるよ、と。(というのも45分でまたオフィスに戻って来なければならないという制約付きだったので。)今朝もスタバでコーヒー飲んだし、まあスタバでいいよと肩をすくめた彼の表情を観察し、どっちだろうと考えてみる。本心でそう言っているのか、気を遣っているのか。

男性と女性の二人組で、女性は外に出たそうだった。試しに外に出ると素晴らしい秋晴れで、この辺りって東京でもいい地域なんでしょう、やっぱりローカルフードが食べてみたいわと女性は遠慮がちに呟く。外の空気に触れると、ふと、何かを思い出したのか今度は、餃子が食べたいとはっきり言う。ギョーザ、ギョーザ、ダンプリング、ギョーザ。あったかな。一軒心当たりがあったので行ってみることに。

赤坂にしてはお世辞にもあまり綺麗とはいえない中華料理屋で、大丈夫かなと思っていたけど二人とも特に不安そうな様子もなく、むしろ満足した表情をしていた。女性は「観光客が全くいなくて、日本人のお客さんしかいないわ。こういうところがいいのよ」と上機嫌。男性はメニューをざっと見て「東京は物価が高いと思っていたけど、ランチセットが7ドルだなんて驚きだな」。私たちが注文した餃子定食は750円だった。

まずセルフでキャベツのサラダともやしの前菜、麻婆豆腐を取るスタイル。それを食べながら待つと10分程で餃子10個に白飯、卵スープ、大根の漬物、杏仁豆腐というお馴染みの餃子定食を店員が運んできてくれた。

興味津々の女性は漬物や杏仁豆腐にも興味を持ち、これは何かと聞いてくるので説明しながら食事を始める。そこで初めて今回が日本に来るのは初だということを知る。初めての日本なのに中華料理で良かったのかな、と心配になったけれど、焼餃子は日本特有のものであり中国のダンプリングは「steam(蒸し)」か「boil(茹で)」であるのでこれは典型的な日本料理とすら言っていいと主張すると男性は納得したような表情になり、餃子言い出しっぺの女性は、そのとおりよ、あなたはよく分かっているわという風に笑顔で大きく頷いていた。

おなかがすいてないと言っていたのに、二人とも美味しい美味しいと言って餃子を全部たいらげていた。私もつられて完食してしまい、三人で顔を見合わせて笑った。

伝票が三人分まとめて書いてあったので支払いはどうなるかなと思っていたけれど、一人ずつできるよということだったのでそこまでは良かった。ただ現金しか使えないということでクレジットカードを財布から出していた女性はちょっと焦った。男性の方が立て替えて事なきを得て店をあとにした。

日本ってクレジットカードはあまり使えないのかしら、と女性が聞く。不満というわけではなくこのあと週末を過ごすにあたってふと心配になったみたいだった。私もちょっと考えて、都心の飲食店ではほとんどの店が使えるはずなんだけど、 こういう個人の小さい店だと現金だけの店が多いかも知れない、クレジットカードは店側に手数料が3%ほどかかるはずだから、というと女性は、そうね、スモール・ビジネスだものねと頷いた。それで日本では今クレジットカード化よりも急速にスマホ決済が進められていると続け、イスラエルでもスマホのpayは広がっているよと男性も応じたところでオフィスに着いた。

ありがとう、知り合いになれて良かった、私は仕事に戻るねと言って握手して別れた。

そういえば名前も一度聞いただけでちゃんと覚えてないんだけど、イスラエルの方に餃子定食を喜んでもらえて良かった。


そんな金曜日の午後でした。