クヴェヴリ・エミのブログ

JSA認定ワイン・エキスパート&WSET Level3資格保有。ワインについて日々思うことを記していきます。

醸造所

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やはり現地に行ってみるのは大事だなあとあらためて思うものですが、長野県に行って初めて知ったことがあります。

ワインの醸造所はどこのワイナリーにでもあるわけではないということ。

先日訪問した長野県東御市のワインには「委託醸造」という表記があるものがいくつかあり、これまではその言葉にあまり注意を払っていなかったのですが、これは自前の醸造所がなくよそに委託して醸造を行っているということだそうです。

文字通りそのままなんですが、ブドウの収穫時期というのは同じ地域で同じ品種なら必然的にほぼ同時期に重なるわけで、どこかに醸造を委託するということはつまり自分の好きなタイミングで醸造が行えるとは限らないこと、時には収穫したブドウを冷蔵庫に保存したまま醸造の順番待ちをしなくてはならないこともあるという重要なことを意味します。

最近ブドウ造りを始めた友人も、この委託醸造にまつわる悩みについて色々と話してくれました。

 

そういえば、とここでジョージアに畑を買った知人の話を思い出しました。

ジョージアに素晴らしい畑がある」と話を持ちかけられて畑を購入し、これでワインが造れる!と現地に行ったところ、なんと醸造所がなかったという話。おかげで畑だけではなく醸造所の設立にまで資金繰りに奔走する羽目になったんですよ、という苦労話を笑いをまじえて聞いていたんですが、これはジョージア人に騙されたというよりは畑に醸造所がおまけで自動的についてくる、なんてことはないから確認しないといけないということでしょう。

ジョージアは外国人でも比較的ビジネスが始めやすく、税制が緩やかなこともあって今後ワイナリー経営に乗り出す邦人も出てくるのではないかと思っていますが、ワイン造りの基本的な知識なしにワインビジネスに乗り出すのは非常に考えが甘いと言わざるを得ないだろうとこの出来事を思い出して考えています。